ついに終わってしまった『美しい罠』。結局槐(高杉瑞穂)は恒大(麿赤兒)の息子ではなかったのですね。槐がゲームを始めたのは、恒大から受けた理不尽な虐待が原因だったようです。槐の口からそれが語られた時、最初は「その程度のことなの?」と思いました。
でもよく考えていくうちに、ようやく納得できるようになってきました。槐が山荘に来てから逮捕されるまでの25年間。ずっと人間としての尊厳を踏みにじられ続けたんでしょうね。その中で生き抜くには、人間としての心を置き去りにするしかなかった。なんだか切ないですね。
それでも、母親が亡くなっても恒大から離れられなかった。一人の人間として認められたい、恒大に認められなければ先に進めない。そんな思いだったのかな?
けれど、凍りついた心が溶けた槐はツラかったと思います。今までの自分の罪の大きさを実感して…。
しかも、敬吾殺しを自白しても逮捕をしてもらえない。罪を償いたいのに、その機会すら与えられない。刑に服すよりも死に追い込まれるよりも、ある意味一番の苦しみですね。
ただ最後に類子(櫻井淳子)と再会したのは救いとなりました。紆余曲折して愛に辿りついた二人。一緒に罪を背負い、支えあって生きてほしいと願わずにはいられません。