実家で飼っていた猫のモモ(仮名)が天国へと旅立ちました。
前回の記事で亡くなる直前1か月の様子を書いたのですが、今回はその続きのお話です。
(関連記事)「猫とのお別れ1~最期の一か月~」
ペットとの別れの一日を書いているので決して楽しい記事ではありません。それでもいいよという方だけこの続きはお読みください。
食べることを拒絶するモモ
亡くなる直前の数日は夜の10時ごろになるとモモに強制給餌をしていたのですが、その日はいつもの時間になっても起きてきませんでした。
気持ちよさそうに眠っているのだからとしばらくはそっとしておいたのですが、いつまでたっても起きる気配はありません。
この頃にはモモはすっかりやせ細っていました。体力の衰え方はすさまじく、部屋の端から端へと歩くのでさえ途中で休憩をしなければならないほどです。
何かを食べさせなければモモが死んでしまう。
恐怖の念に駆られて、モモを起こして餌を与えることになりました。
ところが……
モモが全力で食べることを拒絶するのです。
両親と私でモモの体を撫でたり声をかけたりしてなだめすかしつつ強制給餌をするのがいつものスタイル。モモは逃げようとはするのですが、口に入った食べ物は飲み込んでくれていました。
しかし、この日は違いました。口を1ミリたりとも開けようとしないのです。
やっとの思いで口の中にエサを入れても舌を動かそうとすらしません。口の中にエサを含んだまま身じろぎ一つせずに固まっています。
体に触れるのをやめると、待ってましたとばかりに口からエサをペッと吐き出すモモ。
残りのエサは明日食べようね。
モモにそう言ってあげたのなら、結果は違っていたのかもしれません。
それなのに、私たちの頭にはその選択肢はありませんでした。
大変! モモが痙攣している!
引き続きエサを与えていた時のこと。
モモの体がガクッと崩れ、手足がビクンビクンと震え出しました。痙攣(けいれん)をおこしたのです。
その姿を見ても何もすることができず、ただ背中をさすってやることしかできませんでした。
それがどのぐらい続いたのでしょうか。
とても長く続いたように思えたのですが、ほんの数秒だったのかもしれません。
折あしくこの時すでに、深夜の0時が近い時間帯でした。動物病院へ連れて行くなど到底できません。
翌日、一番に病院へ連れて行こう。
そう決めて、もう一度モモをいつもの場所で寝かせてやりました。この数時間後に悲劇が待っているとは気づかないままに…。
午前2時の転落事故
その日の私は深夜になっても眠れませんでした。痙攣をしているモモの姿を見たためか、何かがあった時のために起きていなければと思ったからです。
モモは部屋で寝ていたのですが、夜中に少しずつ場所を移動していました。
2階の部屋にあるモモの布団から出て床へゴロリ。そして廊下へ。
私はモモの布団の横にいたのですが、移動の気配がするたびに様子を見に行っていました。何事もないことを確認すると、モモを少し撫でてからもとの場所に戻るという繰り返し。
それを数回ほど続いた後、ドンッという音がしたのです。
モモは体力がなくなっていたので、床に寝転がるときに体を支えられずに大きな音がすることが増えていました。
最初はそれかなと思ったのですが、その後にさらに続くドンッ、ド、ドドッという音。不規則な音の連続に嫌な予感しかしません。
モモ!
モモのところに行った私が見たものは、横たわったまま階段を転がり落ちる姿でした。なすすべもなく落ちるにまかせてゴロンゴロンと転がって、1回の床に叩きつけられたモモ。
一回に降りようとして足をすべらせたのでしょう。それとも、階段を降りている途中にまた手足が痙攣したのでしょうか。
高い所から直接に落ちたわけではありませんが、それでも相当なダメージはあったのは確実です。モモは横たわったまま動きませんでした。
しばらくするとモモは起き上がって、よろよろとしながら玄関に向かいました。
「猫は死期を悟った時に人間の前から姿を隠す」というようなことを昔から言います。今にして思えばモモの行動はそれだったのかもしれませんね。
そして、この時が自分の足で歩くモモを見た最後となりました。
動物病院に行くのをあきらめる
2階にモモを寝かせているとまた階段を落ちてしまう可能性があります。朝まで両親と私とモモは1階で過ごすことになりました。
朝、起きてみると、いつものモモはいませんでした。
その場に寝てはいるのです。けれども、全然まばたきをすることなく目を見開いています。瞳孔が開いているようで、どこか一点を見つめているようでもあり何も見えていないようでもあり…。
名前を呼ぶとモモは尻尾をパタパタと降るのですが、この日は一度も振ることはありませんでした。それどころか、尻尾だけが先に天国に行ったかのように一切動きません。
歩くことはおろか、その場で香箱座りをすることさえできませんでした。
病院へ連れて行ってもそれはモモの苦しみを長引かせるだけにしかならないでしょう。
モモ、一緒におうちにいようね。
私たち家族にできることは、残された時間をできるだけ一緒に過ごすことだけ。幸いにもその日は休日で、私もずっとモモのそばにいることができました。
水を飲むこともできないモモの口元を水で湿らせてやると、ゆっくりと瞬きをします。その瞬間だけが普段のモモの面影を感じられる時間でした。
やがてモモの口が少しずつ開いたまま閉じなくなっていき、呼吸の回数が少なくなり、呼吸が止まったかなと思ったその後に数回ほど激しく咳き込み…。
そうしてモモはこの世から去っていきました。
モモがいなくなった寂しさ。
よく頑張ったねとモモをほめたい気持ち。
そして、思ったほどモモが苦しまずに逝ったことへの安堵感。
さまざまな気持ちを抱えながらモモを見送りました。
それから約二週間。以前に飼っていた猫のチョコ(仮名)とお別れをした時もペットロスになったのですが、今回もそのような状態になっています。
この2週間のことについての気持ちの整理をしたいので、もう1回だけモモとのお別れの話を書こうと思います。もう少しだけおつきあいいただけたらと思います。 重い内容の記事にもかかわらず最後まで読んでいただきありがとうございました