最近、カトリーヌ・アルレーという作家の『わらの女』(創元推理文庫)という小説を読みました。フランス文学は救いのない結末が多くて重苦しいイメージがあり、個人的にはずっと避けていたのです。しかし、ついに重い腰を上げる時がきました。
『わらの女』(カトリーヌ・アルレー)とは
だいだいのお話の内容は以下のようなものかと思います。
「当方、莫大ナ資産アリ、良縁求ム。……」で始まる新聞の求縁広告。それは資産家秘書アントン・コルフの仕掛けた罠。しかし、そうとは知らぬヒルデガルデ・マエナーは幸せを夢見て手紙を出してしまう。資産家リッチモンドと結婚式を挙げるも、花婿は急死。彼女が全財産受けとるためには、夫の遺書の登録が終わるまで死を隠さねばならない。だが嘘はやがて明るみに出るもの。ヒルデガルデは夫殺しの疑惑の渦中に投げだされる。そして彼女の運命は…。
ブログが趣味の凡人が書いているので言葉不足でわかりにくいところもありますが、その点はご容赦ください。
昼ドラ『美しい罠』が好きな立場からの感想
私がこの作品を読むきっかけは、『美しい罠』というドラマ。『わらの女』はその原案なのです。
ドラマがまずありきで読み始めたので、正直に言えばどうしても両者を比較してしまう部分はありますね。この設定やセリフはドラマと同じだ。ここは違う。そう言っては一気一憂しつつ読みすすめました。
この小説は私の好みにはハマりました。ただ誰に感情移入するかによって、意見は分かれるところだと思います。
私の場合は資産家秘書のアントン・コルフ。紳士の顔をした悪魔の如き男です。昼ドラ『美しい罠』を観ていた時、この人をモデルにしたと思われる役柄とそれを演じた役者さんが好きでした。そこから考えると感情移入するのも当然ですよね。
特に惹き付けられたのがその冷酷さ。結末でヒルデガルデを追い詰めるさまにゾクゾクしました。ただ彼女の運命はあまりにも残酷です。ヒルデガルデが好きな人は、後味の悪い思いをしそうですね。
小説を読むときには、主人公にシンパシーを感じる方が多いですよね。私も昼ドラの影響を受けていなければ、ヒルデガルデ目線でこの小説を読んでいただろうと思います。そうだった場合、とてつもないストレスを感じてしばらく気持ちが引きずられたことでしょう。『わらの女』は読む人を選ぶ小説なのかもしれませんね。