「定年になったら趣味でそば打ちを始めようかな。」
ひと昔前はそのようなことをいう男性が少なからずいました。
趣味を持つのは結構なことです。しかし、問題はそれを続けられるのかということ。
せっかく道具を揃えてもいざ始めるたら自分には向いていないという場合もありますよね。そうなると道具代が無駄になった上に置き場にも困ってしまうことに…。
本人はそれでもいいのかもしれませんが、家族は困ってしまいます。
私の身近には、定年後にそば打ちセットを買った団塊の世代の人間が二人います。その二人の様子を見ながら、そば打ちしたがる男たちのその後を追ってみましょう。
道半ばで挫折をするパターン
定年後まもなくして新聞広告でそば打ちセットを調達したAさん。麺台、麺棒、こね鉢、こま板、そば粉、そばの作り方の説明書を一度に手に入れることが出来て上機嫌です。
念願がなかった嬉しさから、購入後の一年は定期的に作っていたようです。娘が実家に帰ると手作りそばを振る舞うこともありました。
しかし、だんだんと作ることが減っていったのです。その原因はそば粉が近所のスーパーでは手に入らないためでした。
今ならばAmazonや楽天市場で手に入れることも難しくはありませんが、10年以上前は今ほどネット通販で何でも手に入る時代ではなかったのです。
そのうちにそば打ちに対する興味も失せてしまいました。もしくは、数回そばを作った段階ですでに満足をしていたのかもしれません。
5年が過ぎる頃には麺棒やこね鉢は収納に押し込められ、麺台は部屋の片隅でホコリをかぶることになりました。
道をひたすら進むパターン
一方、同時期にそば打ちセットを購入したBさん。近所には大きなスーパーがあり、いつでもそこでそば粉を買うことができました。
環境に恵まれたBさんは定期的にそば打ちを続けて行き、それなりの腕前にまで上達。10年以上が過ぎた令和の時代になっても趣味を楽しんでいます。
続いても続かなくても家族に悩みはある
ちなみに、Aさんは父でBさんは伯父のことです。同世代で同時期にそば打ちを始めた二人は正反対の道を進むことになりました。
ここまでの記事を読むと、趣味が続いている伯父の方がいいよねと思いませんか? けれども、いとこに言わせればそれはそれで悩みがあるそうなのです。
それは、そば打ちをしすぎること。
趣味を満喫しすぎて、場合によっては週に2、3回も食卓にそばが並ぶのだとか。よほどのそば好きならいいのかもしれませんが、そうでないなら少し厳しいですよね。
友人や職場の人たちからも、身近な人がそば打ちを始めた話を聞くことがあります。すると、たいていが父と伯父のように両極端のパターン。「ほどほどに楽しむ」という言葉は、そば打ちしたがる男たちにはないようです。
続かずにそば打ちセットが狭い家を圧迫するのも困るし、ハマりすぎて食事がそば続きも困ります。続いても続かなくても家族の悩みは少なからずあると思っておいた方がいいでしょう。