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【読書日記】『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』・北尾トロ

2021年11月12日

本日とりあげる本は北尾トロの『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』(幻冬舎文庫)というエッセイです。読書の秋を満喫したいのに、なかなか読書の気分になれないという時はありませんか? そんな時に気軽に読めるこの本について、あれこれ書いてみようかと思います。

鼻毛が出ている人は意外といる

日常の中には、「言いたいけど言えないこと」や「やりたいけどできないこと」が溢れています。そのような中の一つが、鼻毛が出ている人に対して「あなた、鼻毛が出てますよ」と言うこと

最近でこそコロナの影響でマスクをしているのが当たり前になっていますが、少し前までは鼻毛が出ている人を見かけることはありましたよね。

あまりにもよく見かけるものだから、以前にこのような記事を書いたこともあったくらいです。

けれども、鼻毛が出ていると伝えるのはとても難しいのです。相手が知らない人だったら「何だこいつは」と思われるだろうし、知り合いだったら傷つけたり人間関係に影響があったりという心配があります。

しかし、筆者はその壁に果敢に挑戦します。

鼻毛を指摘された人の反応

筆者が打ち合わせで出会ったハンサムな青年は、残念なことに2ミリほど鼻毛が見えていました。しかも、この日が初対面。鼻毛を指摘するのには、かなりのハードルの高さです。

そこで、筆者は考えます。何とか自分で気づいてもらえるように持ち込む方法はないかと。

その気持ちはとてもわかりますよね。自分で気づいてくれたなら、こちらから言わずに済むのですから。

トイレ等に行くなら話に入る前にどうぞと促して、自分の顔を鏡で見てもらおうとするも失敗。しかし筆者は、青年がこの後にプライベートで用事があると知るや意を決してこういうのです。

「鼻毛が出ていますよ。」

その後、青年は席を立ってトイレで鼻毛を処理。席に戻ると筆者に感謝をしてめでたしめでたしとなるのでした。

「鼻毛がでてますよ」と相手に伝える人は優しい

ところで、あなたは他人に対して「鼻毛が出ていますよ」と伝えることができますか。

私は言えないタイプの人間です。相手との人間関係がどうこうではなく、他人に対してはどうしても言えません。気づかなかったことにしようとしてしまうのです。その一方で、やはり鼻毛が出ていたらそれを指摘してもらいたいとの思いがあります。

外出先のトイレであったり家に帰ったりした時に、鏡を見ると鼻毛がのぞいていた時の絶望感。いったい、いつからこの鼻毛は出ていたのだろう。そういえばAさんと話したけれども、もしかして鼻毛をみられたのでは? Aさんはおしゃべりだから人に言いふらされたらどうしよう。というより、Aさんは何で私に鼻毛のことを言ってくれなかったのだろう。

そのようなことが猛スピードで頭の中をよぎります。

結局、鼻毛が出ていることを指摘することができる人は優しい人なのでしょう。自分が伝えることの気まずさよりも、相手がその後に困らないことを優先しているのですから。

今後にこのようなシチュエーションに出会ったときは、勇気を出して鼻毛を指摘してみようかと思います。

鼻毛の話は一部だけ

ここまで長々と鼻毛の話を書いてきましたが、これは『キミは他人に鼻毛が出ていますよと言えるか』の一部にしかすぎません。

この本は4章14編と番外編によってなりたっています。

電車でマナーの悪い客に注意をする、競馬場でスポーツ新聞を使って座席を取るオヤジに物申す、40代フリーライターの肩書で就職活動をするとどうなるかを検証する、などなど。自分では絶対にできないなということを、筆者は次から次に行っています。

鼻毛の話のように勇気を出してよかったねと思うものもあれば、現実の厳しさを突き付けられるような話もあります。けれども、どれか一つはあなたの好みにあうものがあるはず。

深く考えずに楽しみながら本を読みたいときにはピッタリの一冊です。

  • この記事を書いた人

えいえむ(詠山依麦子)

アラフィフ非正規おひとり様/ブログは2006年から(長い休止期間を含む)/

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