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【読書日記】『たぶん一生使わない? 異国のことわざ』

2024年7月29日

本を読みたい。でも、その時間がゆっくりと取れなくて困るということはありませんか?

そういう時に私は、手軽に読める内容の新書や文庫分を読むことでその欲求を抑えることがあります。今日はそのタイプの本の中から時田昌瑞の『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』(イースト新書Q)についてです。

『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』とは?

『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』・時田昌瑞(イースト新書Q)では、外国の様々なことわざが紹介されています。1ページに一つのことわざを取り上げるスタイルなので、ちょっとした隙間時間にも手軽に読みやすいですね。

様々な国名を思い浮かべた時にパッと思いつく国からそうでない国まで幅広く載せられていて、その点で偏りがなくとても充実しています。

各国のことわざとその意味の解説はもちろんのこと、そこから関連した同じ地域のことわざの話が出てきたり日本のことわざだとこれと同じ意味だとの紹介があったりするのも面白いです。タイトルや見出しでは111個となっていますが、このような理由から実際には倍以上のことわざが載せられているのではないでしょうか。

たぶん一生使わないことわざを選んでみた

読み終わってみると、タイトルにある通り「たぶん一生使わない」と思えることわざがいくつかありました。その中でも個人的に使わないだろうなと思えるものが次の二つです。

先手を打っておきますが、「ここでそのことわざについて書いている時点で『一生使わない』には当てはまらない」と言うツッコミはなしでお願いします。

その言葉は知らないというパターン

たぶん一生使わないことわざの一つ目は「シャイフによってアザーンの仕方がある」です。これについて解説した部分を本文より引用しますね。

シャイフはアラビア語で長老、イスラム知識人の尊称。アザーンはイスラム教におけるモスクでの礼拝への肉声の呼びかけのことなので、礼拝への呼びかけも人それぞれということになる。日本の「十人十色」にあたり、「蓼食う虫も好き好き」にも関連する。

(時田昌瑞・『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』(イースト新書Q)/038「シャイフによってアザーンの仕方がある」)

解説を読むとそういう意味なのかと納得はできます。ただ、「シャイフ」も「アザーン」もあまりに聞きなれない言葉なので、恐らくはこの本を閉じた数日後には頭の中から消えていることでしょう。やはり普段から馴染みのある言葉でなければ使うのは難しいですよね。

有名なことわざとかぶっているパターン

たぶん一生使わないことわざの二つ目は「優れたホメロスも居眠りをする」です。これについての解説を引用すると以下の通り。

名人や達人も誤りを犯すということ。日本の『弘法も筆の誤り』に同じ。ホメロスはギリシア最古期の叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』の著者として知られる。

(時田昌瑞・『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』(イースト新書Q)/074「優れたホメロスも居眠りをする」)

名人としてホメロスが出てくるところがいかにもギリシアっぽいですね。そういう異国との違いを感じられる言い回しという点では面白いと思います。

しかし、これを実際に使うかとなると疑問符が付きませんか。『弘法も筆の誤り』があまりにも有名すぎて、わざわざ外国のことわざを使う必然性が感じられないのです。

「ホメロスも居眠りもするって言うからね」などと言おうものなら、周囲の人から顰蹙を買いそうです。あいつは何を言ってるんだ。何だか気取った言い方をする人だな。それを考えると、たぶんこのことわざも一生使うことがないでしょう。

一度使ってみたいことわざ

それとは逆に一度使ってみたいと思えるものもありました。その中でも特に印象に残ったのが次のことわざです。

男は老いるが女は大人になる

ノルウェーのことわざだということですが、もはや解説は不要ですよね。言葉を見ただけでそういうことかと心に響いてきます。

友人といる時に「男は老いるが女は大人になるっていうけど本当だよね。」と話の途中に挟み込んだとしても、当たり前のように受け入れられそうです。というよりも、外国にこういうことわざがあると知らずにこのフレーズを使っている人がすでにいるかもしれませんね。

先に挙げたシャイフやホメロスに比べたら汎用性は高いと思うので、機会があれば使ってみたいものです。

この本を読んで

この本には各国の様々なことわざが載せられていました。しかし、そのことわざで伝えようとしている事柄は意外と万国共通な気がします。ただ、それを伝えるために使う言葉のチョイスにお国柄がにじみ出る感じがします。

そのお国柄度が高いほどたぶん一生使わないだろうと感じられ、お国柄度が低いほど日常生活で使えそうな印象を受けました。

何気なく手に取った本だったのですが、この本はことわざに興味がなくても十分に楽しめました。たまにはこういう本を読むのもいいものですね。

  • この記事を書いた人

えいえむ(詠山依麦子)

アラフィフ非正規おひとり様/ブログは2006年から(長い休止期間を含む)/

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