職場にいる時には、知らぬ間に気を使っていることがありますよね。
・夏場のオフィスが寒すぎて温度を上げたいと思っていても、「今日は暑いよね~」と言っている人がいたら我慢してしまう。
・くしゃみを「ブァックショ~ン!」レベルの大音量でしたいのに、職場にいるので「クシュン」みたいな可愛い感じにしてしまう。
程度の差はあっても、誰しもこのような一面があるかと思います。それだけに一人の時には油断をしてしまい、同僚に見せているのとは違う顔が出てきてしまうことも。
その時に本当に自分一人だったとしたら何の問題もありません。しかし、実は気づいていないだけで誰かがいたとしたら……。
私はこれまでに何度もやらかしています。その中でも、今から20年近く前のある出来事は今でも思い出しただけで恥ずかしいです。
職場の真ん中である人の名前を叫ぶ
その日、私は残業をしていました。部屋にいるのは、年配の男性と私。特別に親しいわけではない人と二人きりの空間は少し息苦しさを感じます。私はかなり集中をして仕事を終わらせようとしていました。
どれぐらい時間が過ぎたのでしょうか。その男性が休憩のために席を外しました。部屋に私は一人きり。その途端に妙にほっとしたんですよね。
ちょっと休憩しようかな。
自分のデスクで携帯電話を取り出して、スポーツニュースのサイトをチェックしました。念のために言っておきますが、勤務時間でもなければ残業手当が出るわけでもないので職場のルール違反ではありませんよ。
当時の私は、サッカーの日本代表選手にとてもハマっていました。サイトを見たら、その選手が所属チームで大活躍をしたとのこと。テンションが一気に爆上がりです。
その瞬間でした。
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〇〇、大好き!
私は大絶叫していたのです。
「〇〇」には入るのは、好きだった選手の名前。その選手は、ファンからもマスコミからも下の名前で呼ばれていました。私は職場の中心で「太郎、大好き!」「次郎、大好き!」のような感じで叫んでしまったのです。
自宅に一人でいる時でもそのように叫んだことはなかったのに、なぜ職場にもかかわらず心の声が大放出してしまったのか。緊張感がとけて油断したとしか考えられません。
部屋にいるのなら気配を消さないでほしかった
それから、30分ほど過ぎた頃でした。すでに年配の男性は、休憩を終えて部屋に戻ってきています。
「お先に失礼します。」
低音の少し疲れた声。それは私の声ではありません。年配男性の声でもありません。私より少し後ろのデスクにいる無口な中堅男性の声でした。
私はずっと、残業をしているのは年配男性と自分だけだと信じこんでいました。
しかし、彼が部屋の出入りをした覚えがないのですから、ずっとこの部屋にいたことは間違いないのでしょう。そこから考えられる結論はただ一つ。
……あの瞬間を聞かれていた
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そうとしか考えられません。
無口な男性がその場にいるとわかっていれば、絶対に私は「〇〇大好き!」などと叫ぶことはなかったはず。もう少し気配を出してくれていたらこんなことにならなかったのに。
無口な男性にとってみれば八つ当たりもいいところです。けれども、恥ずかしさに取りつかれた私の頭の中には思っても仕方のないことがぐるぐると駆けめぐります。
勘違いされる未来しか見えない
もしも私がサッカー好きな人として職場で認知されていたら、あの絶叫を聞かれても恥ずかしさはその場だけだったと思うんですよね。
けれども、当時の職場ではサッカー好きなことは話していませんでした。そこにあるのは「携帯電話を見て男性の名前を大絶叫した20代の女がいた」という事実だけなのです。
そう思うと、私の頭の中には恐ろしい考えが浮かんできました。
彼氏とメールのやり取り中にテンションが爆上がりして、彼の名前を職場で大絶叫した恋愛真っ只中の女。
そう思われた可能性があるのではと思えてきたのです。なかなかに恥ずかしい展開ですね。
この段階で、「実はサッカーが好きで……」と言ったところで言い訳にしか聞こえません。なぜ、私はサッカー好きだと職場で言わなかったのか。もっと大っぴらに言っておけば何の問題もなかったのに。
その後の私
幸いにして、職場であの日のことが噂になることはありませんでした。
無口な男性が誰にも言わなかったのか。職場で話題にはなったけれども私の耳にまでは届かなかったのか。どちらかはわかりません。
ただ、あれから20年近くたった今でもあの時のことを急に思い出してしまうことがあるのです。
この恥ずかしさは、結局は人前で叫んでしまったということだけではないんですよね。それによって、望まない形の勘違いをされているのではと思うことからの恥ずかしさなのでしょう。
一人だと思って油断していると、私のように恥ずかしい思いをすることもあります。職場にいる時には、勤務時間後であっても完全に気を抜かない方が良さそうですね。