本日とりあげる本は『身近な人の死後の手続き 相続のプロが教える最善の進め方Q&A大全』(文響社)です。高齢の家族を持つ身なので、タイトルに惹かれて読んでみました。
『身近な人の死後の手続き 相続のプロが教える最善の進め方Q&A大全』とは?
この本は「死後の手続き」や「相続」について書いてある実用書です。
全部で10章に分かれていて、「死亡直後」「葬儀」「葬儀後」「お墓」「相続手続き」「相続税の納付」「遺族年金」「生前対策」に関する疑問とその解答が書かれています。
役所での手続きや法律に関する内容というと難しそうに感じますが、152個の具体的な質問に答える形式なのでそこまでとっつきにくい感じではありません。図表やマンガなども挟み込まれているので、文章を読むのが苦手な方も気軽に手にとりやすいのではないでしょうか。
この本を読んだきっかけ
この本を読もうと思ったのは、そろそろ死後の手続きなどに対する予備知識を持っておかねばと思ったからです。
私の両親は団塊の世代です。そう遠くない日に、このような知識の出番がくる可能性もゼロではありません。
しかも、私は一人っ子。手続きの必要が出てきた時には、現実的に動くのは私です。考えたくはありませんが、いつか来るだろうその日への備えとして読んでみました。
読んでみてメリットに感じた点
この本を読んでの率直な感想は、「読んでおいて良かったなぁ」ということでした。特に良いと感じたのは、次のような点です。
すべきことの流れがわかった
身近な人がなくなった時に何をすればよいのか。今まで私は漠然とこのように思っていました。
お葬式をした後に、お墓に埋葬する。
役所に死亡届などの必要な書類を提出する。
銀行・携帯電話などを解約する。
遺品整理をして、遺産相続をする。
ただ、具体的に「いつ」「どのように」「何を」すればいいのかは全くわかりませんでした。
けれども、この本では死亡後7日以内にすべきこと、14日以内、3か月以内というように時系列を追ってまとめてあります。すべきことの優先順位が書かれているので、それに従って動けばいいとの安心感があります。
また、必要なことに対して何をすればよいのかもしっかりと書かれています。
例えば、この本の中に次のようなQ&Aがあります。
Q18、なくなった祖父が加入していた「介護保険」では、どんな手続きがありますか?
『身近な人の死後の手続き 相続のプロが教える最善の進め方Q&A大全』(文響社)
それに対して、「提出期限」「手続きが必要な人」「手続きに必要な書類」「提出先」「届出人」が一覧にまとめられています。また、1ページ半にわたって解説が書いてあるのですが、重要なところは太字や色がつけてあるのが嬉しいところ。ひと目でわかりやすいのでとても役に立ちそうです。
こんな手続きもしなければならないのだとわかった
この本を読むと、死後の手続きについて甘く考えていたのだと思わされます。それは、私が考えている何倍ものことを遺族がしなければならないのだとわかったからです。
インターネット上のサービスの解約
「有価証券」の相続
自動車の相続
後期高齢者である親の「葬祭費」の申請
相続人の特定
言われてみれば確かにそうなのですが、上にあげたものは死後の手続きとして私がすぐに思い浮かばなかったものばかり。もしくは、私がするとは思ってはいなかったものでした。
これ以外にも「書類の作成」や「サービスの解約」などのすべきことがたくさんあるようです。その場になって急にこれをしなければならないとなるよりも、前もってある程度の心の準備ができるのでいいですね。
読んでみてデメリットに感じた点
その一方で、読んでみてデメリットに感じることもありました。
情報が古くなった時にきづくことができるのか
この本は2021年9月に出版されています。現時点では最新の情報が書かれていますが、法律・手続きなど今後は変わっていく可能性があります。
本の中には死後にすべきこととして「サブスクの解約」などもあったのですが、これは10年前の本ならきっと載ってはいないはずです。
身近な人の死が10年以上過ぎてから起こったとしたら、この本の実態とは異なることも起きるのではないかと思いました。その時に気が付かないままでいると困ったことになりますね。
出版されてから数年すぎたら、この本を参考にしつつも自分でも調べて確認する必要がありそうです。
不安を助長する可能性もある
この本を読んでいくと、死後の手続きとしてたくさんすることがあるのだとわかります。
それが、私の場合は「知ることによって準備ができるので安心だ」という心境になりました。その一方で、「こんなにしなければいけないのかと考えるだけで気が重くなる」というように不安につながる方もいるのではないかと思いました。
家に一冊あると安心できる本です
身近な人の死後のことを考えることは、不謹慎だの縁起でもないだのとタブー視する人も多いかと思います。
しかし、高齢の両親も持つ身には切実な悩みであり、知っておいたほうがいいことでもあります。 私はこの本を読んで安心につながりました。すぐに読まなかったとしても、何かあった時のために家にあると安心できる一冊だと感じました。