歯医者に行くのが怖いという人は少なからずいますよね。
その理由はと聞いてみると、大抵の人から次のような答えが返ってきます。
・歯を削る時の音がイヤ。
・口の中を触られると吐き気で「おえっ」となる。
・手入れが悪いと怒られそう。
ところが、私は歯医者が苦手なのにもかかわらずこの中にあてはまるものがありません。
実は、私が怖いのは歯医者の水なのです。
水が溜まって苦しいから歯医者が怖い
歯医者で治療を受ける時、もしくは歯のクリーニングをしてもらう時に水を使いながら器具で口の中を触られる時がありますよね。
あの時に口の中にどんどん水がたまっていきませんか?
途中にバキュームで水を吸ってくれているのですが、それでは到底間に合いません。
飲み込んでいいのかどうかわからずに必死に我慢はするのです。でも、それにも限界が。
ついには苦しくて我慢しきれずに水をごくっと飲み込んでしまいます。
歯医者で荒れ狂う波と格闘する
その時、私の身にはどのようなことが起こっているのか。
私は歯医者で溺れているのです。
次から次へと口の中に注ぎ込まれる水。水を口の中に溜めておくのに必死で呼吸をすることもままなりません。
荒れ狂う波の中でもがきながら、水面に浮かび上がった一瞬を狙って呼吸をする。そしてまた荒波に弄ばれる。
大袈裟でもなんでもなく、例えるならばこのぐらいの苦しさの中で歯医者の席に座っています。時には苦しさのあまりにその場からダッシュで逃げ出したいほどです。
それなのに友人や職場の人に行ってもこの息苦しさはなかなかわかってもらえないんですよね。
なぜ私だけが?
長年の疑問だったのですが、先日、歯医者に行った時にようやく判明しました。
無意識に呼吸が止まっている
歯のクリーニングをしてもらいに行った時、担当の衛生士さんがお休みでベテランの衛生士さんが診てくれることになったのです。
クリーニングを初めてまもなく衛生士さんが一言。
「詠山さん、呼吸が苦しくないですか? 」
まさしく私は水で溺れている真っ最中。全然平気ですという雰囲気を装っていたのになぜわかったのか不思議でなりませんでした。
「呼吸が止まってますよ。お鼻でゆっくりと息をしてみてください。」
私はもともと鼻炎がひどくて気が付くと口呼吸になるタイプ。口に溜まった水をキープしようと意識するあまり、気づかぬうちに息を止めていたようです。つまり、水を吸い取ってもらうか水を飲みこんだ一瞬を狙って呼吸をしていたのです。
水で溺れるというのは苦しさのたとえ的なイメージで使っていたのですが、本当に私は溺れていたんですね。
鼻呼吸で改善
そこから意識して鼻でゆっくりと呼吸をしてみたのです。
みんなは歯医者でこういう感じだったのか。これなら私が歯医者で溺れるといってもわからないわけだ。
完全に普段と同じように息ができるとまではいきませんが、それでもずいぶんと呼吸が楽に感じられます。それに、鼻呼吸をすることに意識が向いていて口に水が溜まっていることを忘れられるのです。
もちろん、衛生士さんが口を閉じて呼吸をするタイミングを増やしてくれたことの影響もあるでしょう。
歯医者の予約の日にちが迫ってくると憂鬱だったのですが、鼻呼吸でこれからは乗り切れそうです。